導入によってさまざまな課題の解決につながることが期待されている、ブロックチェーン技術。暗号資産によって普及した技術ではありますが、現在はさまざまな業界で活用されています。
そこでこちらの記事では、自動車業界ではブロックチェーンを導入することによってどのような課題解決が期待されているのか、また実際の導入事例についてもまとめています。
ブロックチェーンが解決する自動車業界の問題点
データが散逸しており、統一的に管理されていない
自動車の製造工程には複数の事業者が関わっており、部品情報の管理を行う上では大きなコストがかかっています。そのため、自動車の製造に関連する事業者の数が多い場合は特に、安全性の担保をしながら製造過程の情報を一元管理するのは難しいといえます。
データの改ざんが起こる可能性がある
消費者が中古車を購入する場合には、「走行距離はどれくらいなのか」「これまでに事故を起こしていないか」「前のオーナーは定期的に点検を行っていたのか」などさまざまな疑問や不安が出てくるでしょう。場合によっては、データの改ざんが行われており、本当は事故歴があるのに「事故歴なし」と記載されている可能性もゼロではないといえます。
このような場合には、ブロックチェーン技術を活用することによってデータの改ざんができなくなるため、データの信頼性を高められます。
自動車業界におけるブロックチェーン活用のメリット
中古車の購入時に正しい点検情報などを確認できる
ブロックチェーンの活用により、車両販売後の情報も記録できるようになります。ブロックチェーン上に車両点検記録や消耗品の交換、修理履歴など車両のメンテナンス情報を記録すれば、点検状況を偽ったり、事故歴を隠すことができなくなるでしょう。さらに事故歴などを隠した状態での中古車の流通も未然に防げるなどのメリットもあります。
このように、ブロックチェーン技術の活用により、車両の使用履歴やメンテナンスなどの透明性を高められる面もあります。このことから、中古車市場における信頼性の向上も期待できます。
安全な原材料の仕入れの実現
自動車を製造する際の原材料については、例えば発展途上国の鉱山など監視を十分に行えないところから調達しているケースもあります。さらに、サプライチェーンの大半は、非常に多くの中間業者や場所を経由している点も特徴のひとつとなっていることから、その途中で改ざんが行われる可能性はゼロではありません。
しかし、ブロックチェーンの活用によりその原材料が特定の鉱山から調達されたものである点を証明することが可能となります。
スムーズな電気自動車の充電
近年普及している電気自動車を利用する場合、街中などにある充電ステーションを利用するケースがあります。このような場面においても、ブロックチェーン技術を活用できます。分散型充電ネットワークに加えて電気事業者とのスマートコントラクトを整えておけば、ブロックチェーンが全ての処理を行うために本人確認や充電料金の最安値なども気にせずに充電を行えるようになります。
各事業者間でのデータ連携
上記でご紹介している通り、自動車製造には数多くの事業者が関わっているため、それぞれの工程における情報を一元管理することは難しい面がありました。しかしこのような場合でもブロックチェーンを用いて、それぞれの事業者が情報を登録することにより、不正なデータの書き換えを防げる形で記録を行えます。加えて、車両登録情報についてもブロックチェーンの台帳によって管理することで、たとえ関係者が多かったとしても一元管理がしやすくなるというメリットがあります。
万が一リコールが発生した場合でも、上記のような仕組みを取り入れることによって車両の所有者を特定できるため、必要な案内をしっかりと届けられます。
自動車業界におけるブロックチェーンの活用事例
BMWグループでは、ブロックチェーン技術を活用することでさまざまな問題解決に取り組んでいます。
例えば、EUの中古市場で横行している中古車のオドメーター(走行距離計)の巻き戻しなどに対し、BMWとVerifyCarでは「VerifyCar」というデジタル車両パスポートソリューションを開発。これは、ユーザーによって車両の全履歴を追跡・検証し、第三者と走行距離などのデータ共有できるものです。そのため、購入を検討している場合にはVerifyCarアプリを使用してQRコードをスキャンすることで、その中古車のデータが信頼できるかを判断できます。
また、ブロックチェーンを使用することで自動車の原材料となる鉱物について経路の追跡を可能にできる、といったように、さまざまな課題に対してブロックチェーン技術が活用されています。
まとめ
こちらの記事では、自動車業界においてどのような問題をブロックチェーンで解決できると考えられているのか、また自動車業界がブロックチェーンを導入する際に得られるさまざまなメリットについてまとめてきました。
自動車業界の場合には、ブロックチェーンを導入することで消費者が中古車を購入する際に正しい車の情報が得られたり、自動車メーカー側も安全な原材料の仕入れを行える、また製造過程で関連するさまざまな事業者間でのデータ連携が可能になるなど多彩なメリットが得られると考えられます。今後もさまざまな企業で取り入れられていく可能性がありますので、注目しておきたい技術であるといえるでしょう。