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行政やインフラにおけるブロックチェーンの導入事例

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さまざまな業界で普及に向けた動きが進んでいるブロックチェーン。行政やインフラの分野においても、ブロックチェーンを用いた社会実験や取り組みが行われています。デジタル化にブロックチェーンの応用を模索する自治体も出ており、今後も行政レベルで普及が加速する可能性もあります。本記事では、行政・インフラ分野のブロックチェーン導入事例をご紹介します。

行政やインフラにおける
「非金融ブロックチェーン」の活用

行政・インフラ分野では、社会的な課題の解決や、行政サービスの向上を目的として取り組んでいる企業や自治体が目立ちます。詳しい事例は後述しますが、積極的に取り組んでいる自治体も少なくありません。例えば証明書のデジタル化実現のために、ブロックチェーンの応用を検討中の自治体もあります。一方、民間企業と行政が連携し、観光分野で活用する取り組みも見られるなど、多種多様な活用方法が模索されています。

ブロックチェーンの発展性は限りなく大きく、行政サービスやインフラの在り方を変える可能性も秘めています。

ブロックチェーンが解決する
行政やインフラ業界の問題点

選挙の投票率低下

ブロックチェーンを活用したインターネット選挙を導入することにより、投票率の向上が見込まれます。まだ日本では政府選挙の投票では利用されていませんが、海外駐在中のアメリカ軍が国外から大統領選挙に投票する際、ブロックチェーン技術を使ったインターネット投票が行われました。

選挙のインターネット投票を導入したことで、従来の選挙よりも投票率が2倍に増えた地域もあります。インターネット投票を利用することで、場所や時間を選ばずに国民が投票できるのに加えて、選挙管理側の集計にかかる時間も削減可能です。これにより、投票率の増大、選挙に関する双方の手間を大幅に削減する効果が見込めます。

電力に関する取引データの不透明さ

従来の電力業界は、発電から電力の消費までの取引やデータ管理において、中央集権的な組織やデータを管理する第三者機関が必要でした。
またシステムで管理する方法ではデータの信頼性や透明性が欠けており、情報改ざんやデータ不正が起きる可能性があります。

そのような問題はブロックチェーンを活用することで解決できます。
ブロックチェーンは分散型台帳のため、取引データがネットワーク上に保存されるのが特徴です。
情報の修正や改ざんは不可能であり、ネットワーク参加者が常に同じ情報を共有できます。

そのため、信頼性と透明性が向上し、不正行為のリスクを軽減することが可能です。

行政文書のオープンソース化が進んでいない

近年日本は行政文書のオープンソース化を推進していますが、まだ対応できている地方自治体は少ないのが現状です。
行政は国民からの税負担で成り立っているため、本来は集めた情報やデータを国民全体が利用できる公共財として共有することが望ましいとされています。

公共財として国が情報を提供するためには、情報が改ざんされていないことが必須条件です。
この行政文書の改ざん防止対策にも、ブロックチェーン技術を活用できます。

ブロックチェーン技術を活用すると、文章開示時に生成されたハッシュ値(データ照合用の不規則な文字列)と文章照合時に生成されたハッシュ値を比較して、データの改ざんを防止できます。

そのため、ブロックチェーンを活用することで、行政文書の改ざん防止、職員の業務負担軽減効果が期待されています。

行政やインフラ業におけるブロックチェーン活用のメリット

情報の透明性と信頼性の向上

上記の通り、ブロックチェーンは分散型台帳のため、データの改ざんができないように保護されています。特に行政が発信する情報は公的な情報なので、情報の改ざんリスクには徹底的に向き合う必要があります。

ブロックチェーンを活用することで、外部の攻撃者にデータを改ざんされるリスクを低減できるので、情報の透明性と信頼性が向上します。

業務の効率化

ブロックチェーンを活用することで、特定の条件下での自動的な契約実行や一時処理を可能にします。
従来の行政における手続きの多くは、煩雑で時間がかかるものでした。それにより、行政職員のリソースと時間を使ってしまい、市民サービスの提供まで時間が回らないという点が課題でした。

しかしスマートコントラクトによる契約の自動実行により、多くの時間が削減され、業務の効率化が図れることでしょう。

データのセキュリティとプライバシー保護

ブロックチェーンに記録されているデータは複数のノードに分散して保存されています。保存されている情報は暗号化されているのに加え、新しいトランザクションがブロックに追加されるたびにネットワーク全体で一致したデータが更新されます。

これにより、攻撃者からのデータ改ざん、不正アクセスのリスクを低減することが可能です。

インフラ産業におけるブロックチェーンの活用事例

電力の取引プラットフォームの構築

みんな電⼒株式会社は、電気の生産者と利用者の間で直接取引を行うプラットフォーム「ENECTION 2.0」をブロックチェーン技術を用いて開発いたしました。

ブロックチェーンによって、30ごとの発電量をリアルタイムでトークン化して、電力ユーザーの電力消費に配分をし、信頼性の高いトレードを実現させました。

※参照元PDF:独立行政法人情報処理推進機構『非金融分野におけるブロックチェーンの活用動向調査 報告書』(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/trend/ug65p90000001hkf-att/000079568.pdf)

行政やインフラの導入事例・ユースケースを掲載している
おすすめの開発会社

トレードログ

トレードログ株式会社公式サイトTOP画面のキャプチャ
引用元:トレードログ株式会社(https://trade-log.io/)

トレードログは、ブロックチェーンの導入支援を行っている会社です。ここでは、同社が手がけた八千代エンジニヤリングの導入事例をご紹介します。

八千代エンジニヤリングの導入事例

幅広い建設コンサルタント業務を手がける八千代エンジニヤリングでは、自社で取り組む社会課題解決のためにブロックチェーンを導入しています。主にフィールド展開のためのデモンストレーションに用いており、例えば「Smart Dam」構想のデータ共有・複合サービスの具体化に取り組んでいます。ブロックチェーンを用いることで、社会課題解決に向けた取り組みの加速が期待されます。

参照元:トレードログ公式サイト(https://trade-log.io/casestudy

出光興産の導入事例

出光興産は石油精製・販売、再生可能エネルギーの開発を中心としたエネルギー関連事業を行っている企業です。近年は再生可能エネルギーの開発に力を入れており、鹿児島県南種子町役場、種子島空港にブロックチェーン技術を活用したシステムを導入しています。トレードログのシステムを選んだ理由は、専門的な知見がある担当者と直接やりとりできる点が魅力的だったからです。導入後も仕様の検討、変更に対して迅速に対応してもらえるため、一緒にプロジェクトを進めていきやすいと感じています。これだけの仕事を自社だけで対応するのはかなり大変だったことでしょう。知見のある担当者とディスカッションしながら要件定義を行えたため、効率的にプロジェクトを進めることができました。

参照元:トレードログ公式サイト(https://trade-log.io/casestudy

トレードログの会社概要

会社名 トレードログ株式会社
本社所在地 東京都豊島区南池袋1-16-15 ダイヤゲート池袋5F
電話番号 公式サイトに記載なし
業務内容 ブロックチェーン関連事業、データ活用事業
公式URL https://trade-log.io/

Chaintope

株式会社chaintope公式サイトTOP画面のキャプチャ
引用元:株式会社chaintope(https://www.chaintope.com/)

Chaintopeは、ブロックチェーンのソリューション「Tapyrus」を開発している会社です。ここでは、同社と飯塚市が連携して行った、ブロックチェーンの実証実験をご紹介します。

飯塚市の実証実験

飯塚市は、2019年から産学連携でブロックチェーンの応用に関する取り組みを実施しています。同市では、2021年1月20日より各種証明書の発行や、認証のデジタル化に関する社会実験が行われています。実験ではスマホアプリを使用し、ユーザーが証明書の申請・ダウンロードをできるようにしているのが特徴。交付日時(タイムスタンプ)をブロックチェーン上で記録し、真正性を高める仕組みにしています。

申請書の発行や認証をデジタル化することで、サービスの向上が期待できます。また、手続きも簡素化されるため、事務作業などの業務効率向上や、省力化も実現可能です。

参照元:Chaintope公式サイト(https://www.chaintope.com/tapyrus-channel/
参照元:飯塚市公式サイトhttps://www.city.iizuka.lg.jp/sangakurenke/bc_sengen.html

Chaintopeの会社概要

会社名 株式会社chaintope
本社所在地 福岡県飯塚市幸袋560-8 I.B.Court2F
電話番号 0948-26-3801
業務内容 ブロックチェーン技術開発・システム開発など
公式URL https://www.chaintope.com/

日立製作所

株式会社日立製作所公式サイトTOP画面のキャプチャ
引用元:株式会社日立製作所(https://www.hitachi.co.jp/)

さまざまなソリューションを提供している日立製作所。同社では、長崎市におけるブロックチェーンの実証実験で技術的なサポートを行いました。

長崎市の実証実験

長崎市では、地図情報の調査や制作を行うゼンリンや日立製作所と連携し、観光型MaaSの実証実験に取り組んでいます。同実験では、キャッシュレス決済の導入や、多数の交通手段を同一地図上で可視化する取り組みを行い、快適な観光と移動の実現を目指しています。

位置情報に基づく交通情報の提供や観光チケットの購入、決済などがアプリ上で完結するようになれば、ユーザーの利便性向上に繋がります。また、一連の流れがシームレス化することで、新しいタイプの観光体験の提供も可能になるでしょう。

参照元:日立製作所公式サイト(https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/05/0520.html
参照元:日立製作所公式サイト(https://www.hitachi.co.jp/products/it/blockchain/case/index.html#case_02

日立製作所の会社概要

会社名 株式会社日立製作所
本社所在地 東京都千代田区丸の内1-6-6
電話番号 03-3258-1111
業務内容 IT事業、モビリティ事業、エネルギー事業など
公式URL https://www.hitachi.co.jp/
ブロックチェーン導入を検討するなら、事例はもちろん“自社に適したプラットフォーム選び”も大事

非金融ブロックチェーンをパーミッション型で導入するなら「ユースケースに合ったプラットフォーム」を選ぶのがおすすめ

ブロックチェーンは、元々暗号資産などの金融領域で活用されていた技術です。各プラットフォームには特性があり、業界・分野によって向き不向きが分かれます。そのため、知名度や開発コストのみで決めようとせず、得意な分野やユースケースなどを総合的に判断し、自社に適したプラットフォームを選びましょう。

代表的なプラットフォーム3つに特化した 開発会社3選

3つのプラットフォームは、それぞれ日本国内での導入実績が多数ありますが、選ぶ際は開発会社を慎重に決めることが重要です。自社に適切なプラットフォームを選ぶには、システム構築はもちろん、その後のデータ活用やマーケティング戦略など、幅広いコンサルティング相談に対応している開発会社を選ぶ必要があります。ここでは、各プラットフォームに特化したおすすめの開発会社をご紹介します。

[各プラットフォームの対応領域について]
GoQuorum…「非金融領域」「金融領域(暗号資産以外)」「暗号資産」の領域に対応。
Hyperledger Fabric…主に「非金融」「金融(暗号資産以外)」の領域に対応。
Corda…主に「金融(暗号資産以外)」の領域に対応。

▼横スクロールできます▼
開発会社 トレードログ 日本アイ・ビー・
エム
TIS
対応プラットフォーム
GoQuorum
Hyperledger Fabric
Corda
ユースケース
  • ・サプライチェーン
  • ・銀行および金融サービス
  • ・国際貿易と商品相場
  • ・高級ブランドの真贋証明
  • ・銀行間情報ネットワークなど
  • ・貿易金融
  • ・銀行
  • ・非接触型電子チケット
  • ・医薬品のサプライチェーン
  • ・教育と訓練
  • ・スマートエネルギー管理など
  • ・キャピタルマーケット
  • ・貿易金融
  • ・サプライチェーン
  • ・不動産
  • ・デジタルアイデンティティ
  • ・デジタルアセット
  • ・エネルギー
  • ・ヘルスケア
  • ・保険
  • ・GovTech
  • ・通信など
主な利点
プライベート
トランザクション
実行するノードを指定したトランザクションであり、トランザクションの実行結果は、指定されたノードにのみ保持され、データの秘匿化が可能。
コンセンサス
アルゴリズム
複数の情報管理者がいる状況下でも、データの改ざんや不正がなく、正しく取引が承認されます。
開発コストを抑制
フルマネージドサービスのAzure Blockchain Serviceやイーサリアム向けの開発ツールに対応しているため、開発コストの削減が期待できます。
機密性の高い取引
共有したいデータのみを、共有したい当事者に公開します。
プラグ可能な
アーキテクチャー
業界ニーズに対応するためのブロックチェーンの調整には、汎用的なアプローチではなく、プラグ可能なアーキテクチャーを使用
開始が簡単
チームが現在使用している言語でスマート・コントラクトをプログラムできます。カスタム言語やカスタム・アーキテクチャーの習得は不要です。
プライバシーの担保
取引を全ノードで共有することはせず、必要なノード間でのみ共有するため、他社に自社の取引内容を知られることがありません。
インターオペラビリティ
Corda上で動く複数のアプリケーション間でデータの移転や連携ができることで、複数システム間をシームレスにつなげることが可能です。これによりバリューチェーン融合が可能。
スケーラビリティ
Cordaは関係者ノードとの通信であるため、トランザクションの並列処理が可能で、処理速度はネットワークサイズに依存しません。
「開発会社」の
特徴
非金融領域に特化したブロックチェーン導入をしており、GoQuorumに精通している。 Linux Foundation Hyperledgerプロジェクトの創設メンバーであり、許可制ブロックチェーン・ネットワークの認定フレームワークであるHyperledger Fabricの開発に協力している。 米国R3社と資本・業務提携している。
公式サイト
[代表的なプラットフォーム3選の選定基準]
ブロックチェーンなどの分析を手掛ける「Blockdata(https://www.blockdata.tech/)」による2019年4月のレポート「Forbes ブロックチェーン 50 の分析」(参照元:https://www.blockdata.tech/blog/general/breaking-down-the-forbes-blockchain-50)のうち、最も人気のある開発プラットフォーム上位3社をピックアップ。
※1位の「Ethereum(イーサリアム)」は暗号資産メインのため、ここではEthereumをtoB企業向けに改編した4位の「Quorum」を選出。
[各プラットフォームに特化した開発会社3選の選定基準]
「ブロックチェーン」「開発会社」「ベンダー」でGoogle検索して表示された非金融領域でのブロックチェーンを開発している開発会社35社のうち、下記条件に合致している開発会社をピックアップ。
トレードログ:公式サイトに導入実績を公開しており、かつGoQuorumの実績掲載数が一番多い。
日本アイ・ビー・エム:公式サイトに導入実績を公開しており、かつHyperledger Fabricの実績掲載数が一番多い。
TIS:公式サイトに導入実績を公開しており、かつCordaの実績掲載数が一番多い。
どの開発会社も専門的な知識があるので
安心できそうだね!
でも大企業ばかりだし、開発費用も莫大なんじゃないかしら。その点はちょっと不安ね。
適したプラットフォーム選びから
データ活用まで、相談したい場合には…

「ブロックチェーン技術を非金融領域に導入したいけれど、どんな開発会社に相談していいかわからない…」そんなときは、代表的なプラットフォームを使った非金融ブロックチェーンの導入実績がある開発会社を選ぶのがポイントです。適切なプラットフォーム選びはもちろん、構築後のデータ活用、マーケティング戦略など、さまざまな相談にのってもらえるコンサルティング対応の開発会社であれば、さらに安心です。